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2021年5月施行の欧州医療機器規則

コバルト規制対応・注射針向けステンレス鋼を出荷開始

 

弊社では2021年5月に施行される欧州医療機器規則(Medical Device Regulation:MDR)コバルト規制(Co規制)に対応する注射針向ステンレス鋼を取り扱いを開始いたしました。

MDRは欧州で医療機器を販売するための規則で、従来の医療機器指令(Medical Device Directive:MDD)をより厳格にした承認制度です。MDRは、化学物質規制(Regulation on Classification,Labelling and Packaging of substances and mixtures:CLP)を適用し、発がん性物質項目でステンレス鋼に含有するコバルト(Co)が対象となり、その含有規制は、「0.1%以下」です。

国内外の医療機器メーカーの要望を受け、当社グループでは原料メーカーとアロイデザイン(成分調整)を協議。結果、2020年内供給の実現に至りました。2021年5月のCo規制対象は、当社お客様御使用量全体の約13%に当たり、既にその内の約6%に相当する物量の打診が当社に入っています。

今回の規制に対応出来ない、もしくは対応が出来ても受注ロットが大きくなる国内外のメーカーも多く、医療機器メーカーのコストなどに制約が生じることから、他社材からの切替も増加している傾向も見られます。

現行材との2種類の運用となりますが、現行材と同様の小ロット対応を実現すべく、現在運用の調整を進めています。

本材は「痛くない針」を代表としたインスリン用向や美容向などの"細径向"が選ばれ、現在、世界中で使用されています。注射針販売シェア(※1)は、国内約52%、海外約58%(※2)、平均約56%となっており、注射針市場で品質優位性が広く認められ、高いシェアを維持しています。

※1:国内・海外29社対象

 

※2:主体国は、東南アジア・韓国・中国・インド・EU。

※3:特徴


①引抜き率を上げても切れない加工性
注射針は、「素材の端面を溶接し素管を製造、その素管を細く引き伸ばして」製造します。インスリン用向などは、
素管φ4.0mm、肉厚 0.2mm を引抜き、熱処理と交互に何度も行い、外径 φ0.18mm、肉厚 0.05mm ま
で引き伸ばしていきます。この工程で重要なことは、「引抜き率を上げても切れない加工性」「細く引き伸ばしても
破断しない素管溶接部の安定性」にあります。
当社注射針向ステンレス鋼は、日本産業規格(JIS)およびアメリカ鉄鋼協会規格(AISI)における SUS304 成分系内で、

加工硬化を抑え、成形能を上げた成分系を実現しています。

②細く引き伸ばしても破断をしない素管溶接部および素材切断端面の安定性
医療機器メーカーが溶接し易い破断面およびせん断面比率を取り決め、コイル全長(0.2mm:約 4,000M)を
同じ端面性状で供給。本材は、医療機器メーカーでの成形時での汎用性を前提に開発した鋼種です。